令和4年度防衛医科大学校・明治薬科大学合同多職種連携教育(IPE)(医学科1年生、看護学科1年生、薬学科1年生)を実施いたしました
医療の高度化、多様化が進む中、患者さんへ真の良質な医療を届けるためには、多くの職種が連携して業務に取り組むことがますます重要になっております。医療従事者を志す学生を対象に、この多職種連携の重要性を認識させるとともに、必要なコミュニケーション能力を涵養する目的で実施するのが多職種連携教育(IPE)です。
防衛医科大学校と明治薬科大学はIPE実施に関する協定を締結しており、年2回それぞれ異なった学年を対象として合同IPEを実施しております。この合同IPEは、今後医療従事者にますます要求される遠隔での意見交換に習熟させることも目標としており、すべて遠隔で実施されるのが大きな特徴です。今回は、防衛医科大学校医学科第1学年学生86名、同看護学科第1学年学生117名および明治薬科大学薬学部薬学科第1学年学生326名を対象として実施いたしました。
教材は2学が合同で開発したオンデマンドビデオを使用いたしました。まず学生は、各学科の教員・教官が出演する「医師・看護師・薬剤師座談会ビデオ」を視聴いたしました。このビデオには、2学の代表者からのメッセージに始まりオンライン座談会の模様が収録されており、学生は合同IPEの意義や実際の各職種の役割および連携の基礎知識を学びました。
続いて学生は、架空の医療事故を扱った「事例提示ビデオ」を視聴した上で、自らこの医療事故の防止策を提案する課題を実施し、予め指定された評価者(医学科10名、看護学科11名、薬学科22名の教員・教官が担当)にメールで提出いたしました。評価者が提出された課題を評価し、コメントを記載して返送することで学生へのフィードバックといたしました。さらに学生にとって、評価者とメールでやり取りをすることは、社会人としてのメールでのコミュニケーション法やマナーについても学ぶ良い機会になったものと思われます。
この課題実施に加えて、8月26日には学生と教員・教官が自由に遠隔でコミュニケーションを行う「IPE Café」を実施いたしました。明治薬科大学が開発したオンライン双方向授業システムを使用して午前10店舗、午後10店舗のCaféを開設し、各学科からの教員・教官1名ずつがファシリテータを担当いたしました。学生は自宅あるいは学生舎から、ファシリテータも自宅あるいは学内の個室からインターネットを介して参加することで、完全遠隔実施を実現しております。学生は予め指定されたCaféに入室し、1時間にわたって、今回の課題に関する話題や将来の展望、あるいは各学科の学生生活などについて懇談いたしました。初対面でもあり、慣れない遠隔環境での意見交換に初めは学生も緊張していた様子でしたが、ファシリテータの司会のもとに徐々に打ち解け、最後は多くのCaféで時間を超過するほどの大きな盛り上がりをみせました。普段はコミュニケーションをとることが少ない他学科の学生や教員・教官との楽しいひとときは、将来の多職種連携への第一歩となったことでしょう。
IPE Caféが終了し、課題の提出・評価を受けた後には、学生は「講評・事例解説ビデオ」を視聴いたしました。このビデオには、合同IPEの実施責任者による講評と提示された事例や周辺知識についての解説が収録されており、学生は多職種連携についての理解をさらに深めることができたものと思われます。
今後も防衛医科大学校と明治薬科大学は連携し、医学科、看護学科および薬学科の学生が楽しく、確実に多職種連携のマインドを身に付けられるようなIPEの充実を目指して参ります。