精神看護学
沿革
平成26年4月 看護学科設立、精神看護学講座開設
令和5年4月現在 内野小百合准教授、髙橋はるな助教、山田志乃ぶ助教の教官3名で構成
教育の概要
近年の科学技術の目覚ましい進歩、急速な経済発展や情報化社会を背景に、私たちは便利で快適な生活を手に入れました。一方で都市化、IT化、核家族化なども進みました。あらゆる年代の人々が、時間や情報に追われつつ成果を求められ、人との関係性は希薄となり、こころの問題を抱えているといわれています。
精神看護学では、全ての人を対象とし、こころの健康や問題、こころと身体、社会を含めた健康を保つための学習を行います。また、当校の特徴でもありますが、災害時や国際貢献活動時など特殊状況下での社会や被災者、支援者のこころの健康(メンタルへルス)についても取り上げていきます。
1年次は、『精神看護学概論』において、こころの健康を考えるうえで基本となる、こころ(精神)の捉え方やはたらき、他者との関係性、現代社会におけるこころの問題や精神医療の歴史、法律・制度について学びます。
2年次には、『精神看護援助論Ⅰ』で、精神科看護の基本となるコミュニケーション技法、カウンセリングや認知行動療法、他者との関係を振り返るプロセスレコードの基本と実施方法を学びます。演習を行いながら、自身のリフレクション力やストレスを調整する力も身につけていきます。また『精神看護援助論Ⅱ』において、精神的健康に問題を持つ対象者とその家族の理解、問題状況への介入から地域社会生活への適応に向けた精神看護援助技術の基本や技法、回復を助ける方法を学びます。
3年次は、防衛医科大学校病院、自衛隊中央病院の精神科病棟において、臨地実習を行います。実際の患者さんとのコミュニケーション、臨床看護師さんとのやり取りや看護実践に触れ、生きた学びを得ることができます。
4年次は、精神看護学領域希望者が統合実習、卒業研究を行います。統合実習では学生自身が主体的に学習課題を設定し、病院精神科病棟での看護、地域の家族会・自助グループ・就労支援施設などで実習を行います。
これまでの学びを統合しながら、チーム医療の一員としての看護実践能力、管理能力、看護専門職としての自立性を獲得していきます。
また3年次には、選択科目として『リエゾン精神看護論』があります。リエゾン精神看護とは、精神看護の知識や技術を応用して、精神科以外の一般診療において患者や家族、さらには医療従事者の精神的ケアにあたる分野です。リエゾン精神看護の基本とコンサルテーション、臨床で問題となる精神症状の基礎について学びます。
研究の要約
内野准教授は陸上自衛隊看護官として自衛隊中央病院の一般病棟勤務を経て、イラク復興支援活動や東日本大震災時のメンタルヘルスケア活動に従事しました。博士論文は「東日本大震災において派遣された隊員のレジリエンス」についてです。リエゾン看護、メンタルへルスをテーマとし、現在は関係性の病や信頼障害といわれるアディクションを取り上げ、臨床・教育に還元できる研究に取り組んでいます。
髙橋助教は、陸上自衛隊看護官として自衛隊病院や師団衛生隊での勤務を経て、東海大学において産業看護を学びました。最近では、新型コロナウイルス感染拡大防止に係る災害派遣に従事しました。修士論文は職場環境と労働者の心身の健康に関するテーマをまとめ、現在は、一般病院看護師による終末期がん患者のスピリチュアルケアや、看護師のメンタルヘルスに関する研究に携わっています。
山田助教は、一般病棟、精神科病棟、精神科訪問看護勤務などを経て、山形県立保健医療大学大学院保健医療学研究科において修士課程を修めました。修士論文は、就労継続支援B型事業所に通所する当事者の方のパーソナル・リカバリーについてです。精神科看護師としての豊富な経験を生かし、当事者のリカバリーについて研究を進めています。