外科学(心臓・血管、呼吸器)
沿革
昭和51年8月、尾形利郎国立がんセンター病院医長が外科学第二講座初代教授に就任し、呼吸器外科、心臓血管外科、上部消化器管外科の三診療科を包括して組織され、教育・研究・診療を行う体制を確立した。尾形教授は後の平成2年4月に防衛医科大学校長(第4代)に就任している。
尾形教授の病院長(診療担当副校長)就任に伴い、昭和62年4月に田中勧助教授が第2代教授に就任した。田中教授も尾形教授の方針を引き継いだ教育・研究・診療を行った。
田中教授の定年退官に伴い、平成12年4月からは前原正明川崎市立川崎病院心臓血管外科部長が第3代教授に就任し、本講座開講以来の基本方針を引き継いだ。平成20年の防衛医科大学校組織改組による外科学大講座制の実施に伴い、本講座は心臓血管外科、呼吸器外科を受け持つ講座となった。
前原教授の定年退官に伴い、平成26年4月からは田口眞一慶應義塾大学専任講師(医学部外科学心臓血管外科)が第4代教授に就任し、基本方針を引き継いで現在に至っている。
スタッフの平成26年以後の異動は、磯田晋准教授が平成26年に横浜市立大学市民総合医療センター、木村民蔵講師が平成26年に埼玉セントラル病院にそれぞれ転出した。この他に、中村伸吾助教が平成26年まで、西村健二助教が平成26年まで在籍した。更に、教務職員の玉置洋(昭和62年7月~)が、平成29年3月をもって研修管理室に異動した。尾關雄一臨床教育教授が平成30年に所沢明生病院に、田中克典講師が令和元年に所沢明生病院に、小森和幸助教が令和4年に宇都宮記念病院にそれぞれ転出した。
令和6年1月現在のスタッフは、心臓血管外科が田口眞一教授(平成26年4月~)、堤浩二准教授(平成27年7月~)、石田治講師(平成28年7月~)、呼吸器外科が橋本博史学内准教授(平成22年3月~)、亀田光二講師(令和3年3月~)、講座付専属臨床工学技士が山中望学内講師(平成19年12月~)である。
教育の概要
本講座における教育カリキュラムの基盤は元日本医学教育学会大会実行委員長の田中第2代教授を中心に検討されたものである。このカリキュラムに対して、前原第3代教授が医学教育の新たな内容を踏まえた改良を適宜実施した。その体系をほぼ受け継いだ後、田口第4代教授の令和4年度現在では、第1学年を対象とした早期体験実習、第3学年を対象とした循環器系科目と呼吸器系科目、第4学年を対象とした基本的診療技能実習と4週間にわたる研究室配属(1名)、第4・5学年を対象とした4週間にわたるBSL(病棟実習の他、各スタッフによるクルズスを含む)、第5・6学年を対象とした臨床講義を行っている。
卒後教育においては初任実務研修医官、専門研修医官に対して教育が行われている。特に専門研修医官に対しては実践的な教育が行われ、各自が専門とする臨床領域での研鑽を積んでいる。平成26年からの専門研修医官は小森和幸、川端俊太郎、西田浩介、飯島夏海、塚本旬、安田拓也、黑田大朗、時岡美里で、それぞれ本講座で研修・活躍し、現在に至っている。
研究の要約
開講以来の伝統を受け継ぎながら、そして、新たな情報を取り入れながら様々な基礎研究並びに臨床研究が実施されてきた。平成26年度以後、各種肺疾患症例に関する研究、重篤な再膨張性肺水腫に関する研究、降下性壊死性縦隔炎に関する研究、低侵襲心臓手術の研究、ビタミンE固定化膜の研究、遠心ポンプのバブル発生に関する研究、心臓血管腫瘍の研究、心筋保護法の研究、人工血小板の研究、ナノシートの臨床応用へ向けた開発、レーザー血流計を用いた臨床研究、冠動脈バイパス術吻合時の心拍動と補助手段に関する研究等に携わっている。
防衛医科大学校病院における一般診療では、関連する医学会員に広く周知するべき症例を時に経験する。このような場合は積極的に学会報告している。平成26年度以後、本講座の研究業績は、著書1編、学術論文25編、学会発表100回である。
地域等における研究会活動として、第25回埼玉循環器フォーラムを平成28年6月に、第30回埼玉循環器フォーラムを平成30年11月に、第9回圏央Heart Disease Forumを令和元年7月に本校内科学講座(循環器内科)足立健教授とともに本講座田口教授が主催した。また、第16回多摩心臓外科学会会長を平成31年2月に、第17回自衛隊外科集談会当番世話人を令和2年2月に本講座田口教授が務めた。