防衛医学
沿革
第2次世界大戦での敗北から28年が経過した1973年、防衛医科大学校が設立されたが、その前後で学生に対して軍事医学を教育することについての表立った痕跡は見当たらない。創立からしばらくの間は、本校教官が学会活動で謂れのない制限を受けた、運動部の学生が医学生の体育団体に加盟できずにいた、等々の所謂「防衛アレルギー」にまつわる苦労話が『防衛医科大学校十年史』などに少なからず残されていることを思えば、それも仕方がないかも知れない。
「時が熱狂と偏見とをやわらげつつあった(パール判事の表現に倣い)」平成8年10月に防衛医学研究センターが開設され、多様な分野での防衛医学研究が軌道に乗るにつれて、漸く「防衛医学」という言菓が市民権を得た。しかし学生教育に「防衛医学」が登場するまでには、更に年月を要した。
教授要目に初めて「防衛医学系」が登場したのは、米国同時多発テロから半年が経過した平成14年度である。その前年に「医学・歯学教育の在り方に関する調査研究協力者会議」(文部科学省主催、高久史麿座長)から医学教育モデル・コア・カリキュラムが示された。同時に、「(この医学教育モデル・コア・カリキュラムが)学生の履修時間数(単位数)の3分の2程度を目安としたもの」とされ、「残り3分の1程度は各大学が特色あるカリキュラムを作成・実施すること」が提言されており、この提言は「防衛医学系」誕生の一つのきっかけになった可能性がある。
当初は教務部長が「防衛医学系」の責任者となり、陸上自衛隊衛生学校の教官や、米国軍保健衛生大学(Uniformed Services University of Health Sciences: USUHS)軍事救急医学講座(Dept. Military and Emergency Medicine)主任教授であったクルーナン陸軍大佐(Col. Cliff Cloonan)による講義を核に、現場の自衛隊衛生を知る本校卒業生や部外の招聘講師がトピックス的に講義を分担することで、本邦唯一の系統的防衛医学教育が開始された。
クルーナン大佐の貢献は講義に留まらず、米軍で使用されていた軍事医学図書の寄贈も行われ、この寄贈図書が切掛となって本校図書館に「防衛医学コーナー」が新設された。その後、和書や雑誌を含めた関連図書の充実が図られた結果、令和4年12月現在で同コーナーの蔵書数は1180冊(単行本751冊、雑誌429冊)に達しており、防衛医科大学校の特色あるいは存在価値の一部を構成している。
防衛医学系の講義が開始されてから3年後の平成17年4月、ついに現役医官が医学生に医学教育を行う唯一の講座として防衛医学講座が開設され、初代教授には1等空佐 山田憲彦(医学科6期)が防衛庁航空幕僚監部から着任した。その指揮下にカリキュラムは増強・再編され、常勤の教官の他、学内外から各分野の専門家を講師として招くことで、自衛隊医官に必要とされる医学的知識をより系統的に教えられる体制が整った。
平成20年8月に山田1佐が航空幕僚監部首席衛生官に転出した。教授不在の1年4か月を准教授である2等陸佐 徳野慎一(医学科9期)が代行した後、平成21年12月に第2代教授として1等海佐 妻鳥元太郎(医学科4期)が自衛隊佐世保病院(病院長)から着任した。妻鳥1佐は平成29年12月に定年退官し、同時に第3代教授として1等海佐 清住哲郎(13期)が自衛隊大湊病院(病院長)から着任した。令和5年4月、清住1佐は海上自衛官を退官し、防衛医科大学校病院救急部長(防衛教官:教授)に就任したため、教授が空席となり、准教授である2等陸佐 石神徳郎(医学科21期)が教授を代行した。令和5年8月、1等海佐 黒川貴幸(医学科21期)が第4代教授として自衛隊横須賀病院(診療部長)より着任した。
現在のスタッフは、黒川貴幸1等海佐(教授)、石神徳郎2等陸佐(准教授)、荒木義之2等海佐(助教)、江頭早織2等海佐(助教)、吉松信也1等空尉(助教)であり、全員が現役の自衛隊医官である。
教育の概要
講座開設までは第1学年から第4学年までに44時間のカリキュラムが設置されていた。講座開設後は徐々にカリキュラムが体系化され、かつ内容も増強された結果、現在は第1学年の前期から国家試験後の第6学年まで、総計133時間に亘る講義、演習、および実習を行っている。また、平成17年の第3学年(32期)からは定期試験での成績評価も開始された。
本邦唯一の防衛医学教育は日本語の教科書が存在しない状態から始まったが、防衛医学振興会から平成19年3月に『防衛医学』(編集委員長 鳥潟親雄)が出版された他、その後も『自衛隊医官のための各種災害派遣マニュアル』、『自衛隊医官のための国際協力活動ハンドブック』など『自衛隊医官のためのシリーズ』が順次刊行されており、貴重な現場の知見として活用されている。この他、米国軍事医学の定番である Textbook of Military Medicine シリーズから旧日本軍衛生に関連する資料まで、古今東西の教科書を所蔵する防衛医科大学校図書館の防衛医学コーナーが、学生はもとより教官にとっても、重要な情報基盤となっている。
各学年のカリキュラムは、令和5年度現在以下の通りである。導入となる第1学年では、医学系講義の履修前でも無理なく学べるよう、防衛医学の概要、危機管理、行動計画、防衛法制、戦時国際法、軍事医学史、自衛隊衛生総論、災害医療(簡単なトリアージ演習を含む)、国際貢献・多職種連携を扱っている。第2学年では陸・海・空自衛生の実際、外傷総論、戦傷病、特殊戦傷病総論、健康管理、特殊環境医学総論を扱い、基礎医学系の履修途中であっても理解できるように配慮されている。第3学年では基礎的な医学知識が備わっていることを前提に、潜水医学、航空・宇宙医学、潜水艦医学、健康管理、特殊戦傷病各論、戦傷病対応演習、防衛医学研究、陸・海・空自衛隊衛生トピックス(各幕衛生から講師を招聘)といった、やや専門的な内容に踏み込んでいる。第4学年では、臨床医学系の講義が進んでいることを受け、災害医療、グループ学習(災害対応演習、健康管理演習)、ケーススタディ、国際貢献と感染症、大量傷者対応など、臨床ないしは応用医学的な内容にも踏み込んでいる。臨床実習と並行した講義となる第5学年では、机上演習として、多数傷病者対応、放射線災害対応、国際貢献活動を実施し理解を深める。同様に第5・6学年合同で、自衛隊衛生最前線(統幕から講師招聘)、災害と法医学、サイバーセキュリティ、地域医療、防衛医学研究最前線などを学ぶ。また、国家試験後の第6学年に対して、医学科教育カリキュラムの最終科目として「卒業生のプロフェッショナリズム」を担当している。
その他、防衛医学振興会の支援のもと「有事災害医療セミナー」を主催しており、ここでも国内外から多くの講師を招聘して、災害医療、軍事医療、離島医療、国内外における自衛隊衛生の活動状況、メディカル・インテリジェンス等々、最新の防衛医学に関連する広範な知見の集積と共有とに努めている。
後も、自衛隊医官を目指す学生諸君に、年々多様性を増す衛生の現場で求められる知識や技能を、内外からの支援の力を結集して常に内容を更新しながら、少しでも分かり易く伝えていく方針である。
研究の概要
元々は教育上の所要から開設された講座ではあるが、研究面においても防衛医学先端研究、防衛医学推進研究(現在の防衛医学基盤研究)、厚生労働省や文部科学省の科学研究補助金などを獲得して、成果を挙げている。
初代教授の山田1空佐は、国家的プロジェクトである日本DMAT設立に、構想から制度化に至るまで主導的立場で関与した。また、科学に内在するデュアルユース・ディレンマの概念を日本の医学教育に導入し、この分野において日本を代表する存在と目されており、国際連合(ジュネーブ)で開催された生物兵器禁止条約締約国会合のパネル・ディスカッションにもパネラーの一人として参加した。
初代准教授の徳野2陸佐は、心的外傷の可視化や爆傷の機構解明などで成果を挙げ、平成23年11月ナイジェリアで開催された国際軍医学会(International Committee of Military Medicine)では最優秀演題(Jules Voncken Prizes)として表彰された。
2代教授の妻鳥1海佐は、国際的に脅威となり得る感染症への対応態勢を検討すべくフランス・イタリアの軍病院や部隊を訪問し、その概要を報告した。また、防衛医大生の消防署研修に関する調査研究を行い、その意義を報告した。
他にも、災害時の情報管理(庄野2海佐)、災害時の病院機能維持(権丈2空佐)、遺体の個人識別(染田2空佐)、旧陸軍における航空医学(西山2陸佐)、艦船による医療提供(柳川2海佐)、など其々の経歴を活かしたテーマに取り組み、成果については科学研究補助金事業の研究報告書や学会・学術誌等で公表している。
3代教授の清住1海佐は、平成30年度からバーチャルリアリティ(VR)技術の医学教育への応用に関して研究を開始している。令和2年度には専用のVR研究室を開設し、現在までに蘇生法、外傷初期診療、事態対処医療、救急隊員の実施する蘇生中止の判断、乳児目線体験などの教材を作成し、学生教育等の一部に実装している。
更に、令和4年度には心肺蘇生法の指導者養成講習を仮想空間に参加者がアバターとして集まる方式(メタバース)で実施することに成功し、日本救急医学会から正式のコースとして認定を受けた。VRを用いて遠隔で行う教育訓練は、人を集めることなく体験型の訓練を実施できる魅力的な方法として注目されており、学習プロセスや論理的思考力の向上が期待される。
現教授の黒川1海佐は、自衛隊におけるメディカルコントロール態勢や、民間と自衛隊とが協同して対処する災害医療の在り方について研究や発表を行っている。
沿革
第2次世界大戦での敗北から28年が経過した1973年、防衛医科大学校が設立されたが、その前後で学生に対して軍事医学を教育することについての表立った痕跡は見当たらない。創立からしばらくの間は、本校教官が学会活動で謂れのない制限を受けた、運動部の学生が医学生の体育団体に加盟できずにいた、等々の所謂「防衛アレルギー」にまつわる苦労話が『防衛医科大学校十年史』などに少なからず残されていることを思えば、それも仕方がないかも知れない。
「時が熱狂と偏見とをやわらげつつあった(パール判事の表現に倣い)」平成8年10月に防衛医学研究センターが開設され、多様な分野での防衛医学研究が軌道に乗るにつれて、漸く「防衛医学」という言菓が市民権を得た。しかし学生教育に「防衛医学」が登場するまでには、更に年月を要した。
教授要目に初めて「防衛医学系」が登場したのは、米国同時多発テロから半年が経過した平成14年度である。その前年に「医学・歯学教育の在り方に関する調査研究協力者会議」(文部科学省主催、高久史麿座長)から医学教育モデル・コア・カリキュラムが示された。同時に、「(この医学教育モデル・コア・カリキュラムが)学生の履修時間数(単位数)の3分の2程度を目安としたもの」とされ、「残り3分の1程度は各大学が特色あるカリキュラムを作成・実施すること」が提言されており、この提言は「防衛医学系」誕生の一つのきっかけになった可能性がある。
当初は教務部長が「防衛医学系」の責任者となり、陸上自衛隊衛生学校の教官や、米国軍保健衛生大学(Uniformed Services University of Health Sciences: USUHS)軍事救急医学講座(Dept. Military and Emergency Medicine)主任教授であったクルーナン陸軍大佐(Col. Cliff Cloonan)による講義を核に、現場の自衛隊衛生を知る本校卒業生や部外の招聘講師がトピックス的に講義を分担することで、本邦唯一の系統的防衛医学教育が開始された。
クルーナン大佐の貢献は講義に留まらず、米軍で使用されていた軍事医学図書の寄贈も行われ、この寄贈図書が切掛となって本校図書館に「防衛医学コーナー」が新設された。その後、和書や雑誌を含めた関連図書の充実が図られた結果、令和4年12月現在で同コーナーの蔵書数は1180冊(単行本751冊、雑誌429冊)に達しており、防衛医科大学校の特色あるいは存在価値の一部を構成している。
防衛医学系の講義が開始されてから3年後の平成17年4月、ついに現役医官が医学生に医学教育を行う唯一の講座として防衛医学講座が開設され、初代教授には1等空佐 山田憲彦(医学科6期)が防衛庁航空幕僚監部から着任した。その指揮下にカリキュラムは増強・再編され、常勤の教官の他、学内外から各分野の専門家を講師として招くことで、自衛隊医官に必要とされる医学的知識をより系統的に教えられる体制が整った。
平成20年8月に山田1佐が航空幕僚監部首席衛生官に転出した。教授不在の1年4か月を准教授である2等陸佐 徳野慎一(医学科9期)が代行した後、平成21年12月に第2代教授として1等海佐 妻鳥元太郎(医学科4期)が自衛隊佐世保病院(病院長)から着任した。妻鳥1佐は平成29年12月に定年退官し、同時に第3代教授として1等海佐 清住哲郎(13期)が自衛隊大湊病院(病院長)から着任した。令和5年4月、清住1佐は海上自衛官を退官し、防衛医科大学校病院救急部長(防衛教官:教授)に就任したため、教授が空席となり、准教授である2等陸佐 石神徳郎(医学科21期)が教授を代行した。令和5年8月、1等海佐 黒川貴幸(医学科21期)が第4代教授として自衛隊横須賀病院(診療部長)より着任した。
現在のスタッフは、黒川貴幸1等海佐(教授)、石神徳郎2等陸佐(准教授)、荒木義之2等海佐(助教)、江頭早織2等海佐(助教)、吉松信也1等空尉(助教)であり、全員が現役の自衛隊医官である。
教育の概要
講座開設までは第1学年から第4学年までに44時間のカリキュラムが設置されていた。講座開設後は徐々にカリキュラムが体系化され、かつ内容も増強された結果、現在は第1学年の前期から国家試験後の第6学年まで、総計133時間に亘る講義、演習、および実習を行っている。また、平成17年の第3学年(32期)からは定期試験での成績評価も開始された。
本邦唯一の防衛医学教育は日本語の教科書が存在しない状態から始まったが、防衛医学振興会から平成19年3月に『防衛医学』(編集委員長 鳥潟親雄)が出版された他、その後も『自衛隊医官のための各種災害派遣マニュアル』、『自衛隊医官のための国際協力活動ハンドブック』など『自衛隊医官のためのシリーズ』が順次刊行されており、貴重な現場の知見として活用されている。この他、米国軍事医学の定番である Textbook of Military Medicine シリーズから旧日本軍衛生に関連する資料まで、古今東西の教科書を所蔵する防衛医科大学校図書館の防衛医学コーナーが、学生はもとより教官にとっても、重要な情報基盤となっている。
各学年のカリキュラムは、令和5年度現在以下の通りである。導入となる第1学年では、医学系講義の履修前でも無理なく学べるよう、防衛医学の概要、危機管理、行動計画、防衛法制、戦時国際法、軍事医学史、自衛隊衛生総論、災害医療(簡単なトリアージ演習を含む)、国際貢献・多職種連携を扱っている。第2学年では陸・海・空自衛生の実際、外傷総論、戦傷病、特殊戦傷病総論、健康管理、特殊環境医学総論を扱い、基礎医学系の履修途中であっても理解できるように配慮されている。第3学年では基礎的な医学知識が備わっていることを前提に、潜水医学、航空・宇宙医学、潜水艦医学、健康管理、特殊戦傷病各論、戦傷病対応演習、防衛医学研究、陸・海・空自衛隊衛生トピックス(各幕衛生から講師を招聘)といった、やや専門的な内容に踏み込んでいる。第4学年では、臨床医学系の講義が進んでいることを受け、災害医療、グループ学習(災害対応演習、健康管理演習)、ケーススタディ、国際貢献と感染症、大量傷者対応など、臨床ないしは応用医学的な内容にも踏み込んでいる。臨床実習と並行した講義となる第5学年では、机上演習として、多数傷病者対応、放射線災害対応、国際貢献活動を実施し理解を深める。同様に第5・6学年合同で、自衛隊衛生最前線(統幕から講師招聘)、災害と法医学、サイバーセキュリティ、地域医療、防衛医学研究最前線などを学ぶ。また、国家試験後の第6学年に対して、医学科教育カリキュラムの最終科目として「卒業生のプロフェッショナリズム」を担当している。
その他、防衛医学振興会の支援のもと「有事災害医療セミナー」を主催しており、ここでも国内外から多くの講師を招聘して、災害医療、軍事医療、離島医療、国内外における自衛隊衛生の活動状況、メディカル・インテリジェンス等々、最新の防衛医学に関連する広範な知見の集積と共有とに努めている。
後も、自衛隊医官を目指す学生諸君に、年々多様性を増す衛生の現場で求められる知識や技能を、内外からの支援の力を結集して常に内容を更新しながら、少しでも分かり易く伝えていく方針である。
研究の概要
元々は教育上の所要から開設された講座ではあるが、研究面においても防衛医学先端研究、防衛医学推進研究(現在の防衛医学基盤研究)、厚生労働省や文部科学省の科学研究補助金などを獲得して、成果を挙げている。
初代教授の山田1空佐は、国家的プロジェクトである日本DMAT設立に、構想から制度化に至るまで主導的立場で関与した。また、科学に内在するデュアルユース・ディレンマの概念を日本の医学教育に導入し、この分野において日本を代表する存在と目されており、国際連合(ジュネーブ)で開催された生物兵器禁止条約締約国会合のパネル・ディスカッションにもパネラーの一人として参加した。
初代准教授の徳野2陸佐は、心的外傷の可視化や爆傷の機構解明などで成果を挙げ、平成23年11月ナイジェリアで開催された国際軍医学会(International Committee of Military Medicine)では最優秀演題(Jules Voncken Prizes)として表彰された。
2代教授の妻鳥1海佐は、国際的に脅威となり得る感染症への対応態勢を検討すべくフランス・イタリアの軍病院や部隊を訪問し、その概要を報告した。また、防衛医大生の消防署研修に関する調査研究を行い、その意義を報告した。
他にも、災害時の情報管理(庄野2海佐)、災害時の病院機能維持(権丈2空佐)、遺体の個人識別(染田2空佐)、旧陸軍における航空医学(西山2陸佐)、艦船による医療提供(柳川2海佐)、など其々の経歴を活かしたテーマに取り組み、成果については科学研究補助金事業の研究報告書や学会・学術誌等で公表している。
3代教授の清住1海佐は、平成30年度からバーチャルリアリティ(VR)技術の医学教育への応用に関して研究を開始している。令和2年度には専用のVR研究室を開設し、現在までに蘇生法、外傷初期診療、事態対処医療、救急隊員の実施する蘇生中止の判断、乳児目線体験などの教材を作成し、学生教育等の一部に実装している。
更に、令和4年度には心肺蘇生法の指導者養成講習を仮想空間に参加者がアバターとして集まる方式(メタバース)で実施することに成功し、日本救急医学会から正式のコースとして認定を受けた。VRを用いて遠隔で行う教育訓練は、人を集めることなく体験型の訓練を実施できる魅力的な方法として注目されており、学習プロセスや論理的思考力の向上が期待される。
現教授の黒川1海佐は、自衛隊におけるメディカルコントロール態勢や、民間と自衛隊とが協同して対処する災害医療の在り方について研究や発表を行っている。