(2)成人医学系
循環器病学
教授:足立 健(講座等名:内科学)
研究活動等
循環器病学では、心血管病のTranslational Res–earch を行う。主に(1)代謝性血管病(肥満症、糖尿病、脂肪肝)の分子機構、(2)高血圧症・酸化ストレスによる心血管障害、(3)心不全と臓器連関、(4)大動脈瘤・解離の成因、(5)心血管病の新規マーカー、(6)心房細動の病因等である。臓器特異性遺伝子欠損マウス、心血管機能・電気生理学的手法、分子生物的手法、Gene Chip・Proteo–mics・Metabolome等を組み合わせて、循環器臨床の将来に繋がる研究を目標とする。
教授:池脇 克則(講座等名:内科学)
研究活動等
高齢者疾患の特徴は、多臓器にわたる複雑な疾患構造を有することである。当老年病科では、老化現象の一つである動脈硬化に着目し、その危険因子である脂質異常症、高血圧、糖代謝異常、メタボリックシンドロームについて分子生物学的手法を使った基礎研究および臨床研究など幅広く研究を行っている。さらに、発生機序や病態生理の研究を通じて、最終的には予防医学、健康寿命の延命に寄与することを目的とする。
教授:令和7年4月着任予定
(講座等名:外科学)
研究活動等
循環器病学(外科学)では、心臓、血管に関する病変の成因、診断方法、治療方法、術後合併症の治療、疫学、予防等について研究する。弁膜疾患、虚血性心疾患、胸部・腹部大動脈疾患、心臓血管腫瘍、先天性複雑心奇形、不整脈疾患、末梢血管疾患等の病態生理研究、並びに補助循環、人工心臓、ペースメーカー、代用血管等の人工臓器を含めた外科的治療についての基礎的及び臨床的研究を目的とする。
感染症・呼吸器病学
教授:川名 明彦(講座等名:内科学)
研究活動等
呼吸器内科学の分野には、感染症疾患、腫瘍性疾患、びまん性肺疾患、アレルギー性疾患、炎症性疾患などが含まれ多彩である。これらの疾患の原因を探求し、診断・治療の進歩に貢献することが本分野の目的である。
感染症学においては、宿主・病原体・薬物の相互作用から病態を捉え、診断・治療を研究し、また、新興・再興感染症対策、パンデミック対策、感染制御学、予防医学の観点から感染症危機管理に貢献することを目的とする。
教授:令和7年4月着任予定
(講座等名:外科学)
研究活動等
呼吸器病学(外科学)では呼吸器系疾患の形態学的、機能的異常の診断、治療に関する研究を行う。主に外科的治療の適応、方法、術後合併症治療および術前後の補助療法等に関する最新の知識、技能を修得する。また、肺癌、縦隔腫瘍、炎症性肺疾患等を主な対象疾患として病態生理学、病理学、分子生物学等の手法を駆使して生物学的特性を理解すると共に、診断や治療の向上に寄与する研究を行う。
消化器病学
教授:穂苅 量太(講座等名:内科学)
研究活動等
消化管並びに肝臓・胆道・膵臓疾患の診断、病態生理、治療、長期経過、各疾患相互の関連等に関する研究を行っている。特に内視鏡を中心に胃炎、消化性潰瘍、胃癌、炎症性腸疾患、膵胆道疾患の詳細な病状の把握、病態生理の解明を目指し実験を含め追究する。あわせて、肝炎・肝線維化の発症や進展阻止、消化器癌や機能性消化器疾患の病態生理や治療に関する研究を行う。
教授:上野 秀樹(講座等名:外科学)
研究活動等
食道癌、胃癌、大腸癌、消化性潰瘍、炎症性腸疾患等の消化管外科疾患の診断、手術、補助療法、周術期管理、術後QOLの維持等に関する知識や技能を習練するとともに、臨床的並びに実験的研究を行って、消化管外科領域におけるより進化した診断法、治療法、周術期管理法開発に有益な知見を得ることを目的とする。病態生理学、画像診断学、病理学、分子生物学をはじめ種々の手法を駆使して幅広く研究する。
教授:岸 傭二(講座等名:外科学)
研究活動等
肝胆膵の悪性腫瘍に対する、外科手術を中心とした集学的治療の短期、長期成績に関する臨床研究を行っている。手術の安全性、根治性を高めるためのには、術前画像による正確な進展範囲の評価が必須であるが、その精度は未だ発展途上であり、病理組織との対比をしつつ、CT、MRIによる進展範囲診断能を高める研究の他、特に難治性癌とされる胆道癌、膵癌の早期発見、治療薬開発に向けたバイオマーカー探索にも取り組んでいる。
腎臓病学
教授:大島 直紀(講座等名:内科学)
研究活動等
慢性腎臓病、特に糖尿病性腎症、ループス腎炎、熱中症腎症の成因、病態生理、治療に関する臨床研究および動物実験を行っている。また、維持透析患者の血中の微量元素、アミノ酸、ビタミンの減少と動脈石灰化・動脈硬化の関連についての研究も行っている。血圧の研究も行っている。高血圧、慢性腎臓病の時に交感神経活動が亢進して脳心血管イベントの原因となる。ラット延髄の交感神経中枢の神経細胞にパッチクランプ法を行って交感神経亢進の原因を探究している。
内分泌・代謝病学
教授:廣岡 伸隆(講座等名:総合臨床部)
研究活動等
糖尿病、糖尿病合併症の発症・進展機構、生活習慣、心理・社会的背景の調査、介入によるそれらの予防、進展防止に関する臨床研究を行う。内分泌腫瘍は、自律的/過剰にホルモンを産生し生命を脅かすが機序は殆ど未解明である。本分野では、これらを、(1)ホルモン産生細胞の腫瘍化、(2)異所性ホルモン産生腫瘍、(3)ホルモン受容体異所性発現に分類し、腫瘍や培養細胞を用いて分泌調節と逸脱機構を分子薬理学的に分析する。
各種体液平衡異常(塩酸基・電解質・水/浸透圧)について新病態生理モデルと測定法を提唱し、その妥当性・応用の研究を進める。
膠原病学
教授:木村 文彦/ 講師:伊藤 健司
(講座等名:内科学)
研究活動等
膠原病学は、全身性エリテマトーデス、多発性筋炎、関節リウマチ等の膠原病・血管炎症候群の病因・病態解明と、効果的な治療法について、特に障害臓器局所での慢性炎症維持病態についての研究を行う。現在は関節リウマチの滑膜増殖、慢性炎症維持に係わる局所因子についての研究、免疫抑制患者における感染症抑制プロトコールの確立についての研究を行っている。
血液病学
教授:木村 文彦(講座等名:内科学)
研究活動等
血液病学及び臨床腫瘍学の樹立に努力しながら、(1)白血病やリンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄増殖性腫瘍などの造血器悪性腫瘍の病態解析、診断及び治療についての研究、(2)造血細胞移植療法・細胞治療、(3)サイトカインの基礎及び臨床研究、(4)細胞内情報伝達分子の解析などの研究を行っている。
神経病学
教授:池脇 克則/ 准教授:鈴木 一詩
(講座等名:内科学)
研究活動等
神経内科学は中枢および末梢神経と筋を対象とし、神経症候学、画像診断学、電気生理学、病理学、神経遺伝学、治療学等を包含する幅広い学問体系である。神経疾患を局在と病因の両面から理解し、病態解明と治療法開発につなげることが神経内科学の研究目標である。現在は特に認知症や運動障害をきたす中枢神経変性疾患、免疫介在性の中枢および末梢神経疾患を対象とした研究活動を行っている。臨床研究による予後規定因子や治療反応性の解析、細胞および動物モデルを使用した基礎病態研究の双方を統合し、新規エビデンスの創出と治療法開発を目指す。
教授:和田 孝次郎
(講座等名:脳神経外科学)
研究活動等
脳神経外科学の研究は、頭蓋内亢進をきたす疾患、特に脳腫瘍、脳血管障害、頭部外傷、水頭症、脳膿瘍などの疾患の病態解明と治療法の確立に集約される。現在、上記疾患に起因する頭蓋内圧亢進、脳浮腫、脳虚血、脳血管攣縮、神経内分泌異常、高次脳機能障害などの病因・病態の解明と治療に関する基礎的・臨床的研究を行っている。主要研究は、頭部外傷及び脳虚血後の神経細胞障害に関する遺伝子・分子生物学的検討、脳腫瘍の悪性度に関する免疫組織学的検討、脳血管攣縮の発生機序と治療に関する検討、水頭症に関する病態解明と新しい治療法の確立などである。
精神科学
教授:戸田 裕之(講座等名:精神科学)
研究活動等
精神医学は、精神障害の病態、治療法を研究し、精神保健を推進する学問である。理科系、文化系にまたがる方法論を駆使する総合的色彩が強いが、最近は、種々の先端技術を応用しての研究が進められ、「脳科学の時代」の中心的存在になりつつある。本講座は、精神疾患の診断・評価ならびに災害・海外派遣の精神保健を研究する精神行動科学研究班と精神疾患の生物学的基礎を研究する精神病態学研究班を有している。
教授:長峯 正典
(講座等名:防衛医学研究センター行動科学研究部門)
研究活動等
行動科学研究部門では、自衛隊員のメンタルヘルス向上に資する研究を行っている。防衛省は本来の国防任務に加え、災害をはじめとする種々の非常事態対処、さらには国際平和協力活動といった多様な任務を担っている。当部門では、こうした特殊な任務が引き起こす種々のストレス反応の研究だけでなく、労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度の分析も行っている。疫学的手法による研究を主に行っているが、精神現象を生物学的手法からも研究する精神科学講座と密接に連携しており、幅広い手法を用いて研究できる体制をとっている。
整形外科学
教授:堀内 圭輔(講座等名:整形外科学)
研究活動等
整形外科学は、骨、軟骨、筋、靱帯、腱、脊髄・末梢神経の外傷と疾患に対して保存的、外科的治療を行い、運動機能を回復・再建する医学領域であり、特に自衛隊医療では外傷に遭遇する機会が多いため、自衛隊医官にとって整形外科学は必須の分野である。
当講座の研究は、末梢神経障害の病態解明と治療、運動器外傷・障害の疫学、ゲノム解析による椎間板変性機序解明、インプラントによる脊椎固定に関する生体力学的解析、脊椎・関節感染症に対する新たな治療戦略の開発、骨軟部腫瘍に対する新規分子標的治療法の開発、さらにスポーツ医学やストレス医学に関する研究など、整形外科の基礎と臨床のきわめて広い領域にわたる。
皮膚科学
教授:佐藤 貴浩(講座等名:皮膚科学)
研究活動等
皮膚は、面積1.6㎡、重量3㎏に及ぶ生命の維持に不可欠な人体最大の臓器で、しばしば内臓病変を反映する。この皮膚の正常及び病的状態、すなわちアレルギー疾患、感染免疫が関与する疾患、腫瘍、結合組織に異常をきたす疾患などの病態について基礎的、臨床的に種々の手法を用いて研究を行っている。
泌尿器科学
教授:伊藤 敬一(講座等名:泌尿器科学)
研究活動等
泌尿器科学は、腎尿路系臓器、男性の生殖器、副腎などの内分泌臓器の病態を研究し、診断と治療を行う分野である。本講座では、泌尿生殖器腫瘍の診断や治療に関する臨床及び基礎的研究、腎泌尿器外科学に関連する臨床及び基礎的研究を行っている。具体的な研究テーマとしては、腎細胞癌や尿路上皮癌における診断や治療に応用しうる新規バイオマーカーの同定に関する基礎的研究、尿路上皮癌における新規病理学的因子に関する基礎的研究、尿路悪性腫瘍(腎細胞癌、尿路上皮癌、前立腺癌など)に対する新規薬物治療や低侵襲治療(放射線治療や焼灼治療など)に関する臨床及び基礎的研究、尿道狭窄症や水腎症に対する尿路再生や腎機能保持に関する臨床及び基礎研究、泌尿器科疾患(悪性および良性)に対する低侵襲手術(腹腔鏡やエンドウロロジーなど)に関する臨床研究などがある。将来的な臨床応用を視野に入れつつ、臨床及び基礎的研究を行っている。
眼科学
教授:竹内 大(講座等名:眼科学)
研究活動等
眼は視覚を司る組織であり、他の臓器とは異なる特異なメカニズム、および眼付属器の作用によりその恒常性は維持されている。眼科学教室では、難治性眼疾患の免疫学、分子生物学的手法による病態病因解析、および臨床での実用化を目指したトランスレーショナルリサーチを中心に研究プロジェクトを展開している。(1)角結膜疾患、(2)自己免疫性眼疾患、(3)感染性眼疾患、(4)網膜硝子体疾患、(5)神経眼科の分野では、国際的にも主動的な研究が行われ、多くの業績を上げている。
耳鼻咽喉科学
教授:荒木 幸仁(講座等名:耳鼻咽喉科学)
研究活動等
耳鼻咽喉科学は、感覚器医学、頭頸部外科学、頭頸部腫瘍学、気管食道科学等を含み、これらに関連する病態や治療の研究を行う分野である。現在は、基礎的研究としては、(1)反回神経麻痺や顔面神経麻痺等の運動神経麻痺、咽頭喉頭・気管の再建を目指し、遺伝子治療や再生医学的手法を用いた新規治療法を開発の研究、(2)感音性難聴や内耳爆傷などに対するメカニズム解明や遺伝子治療・再生医学的手法などを用いた新規治療法開発の研究、(3) 頭頸癌に対する遺伝子治療等を用いた新規治療法開発の研究、臨床的研究としては、 (1)頭頸癌における機能温存を目指した新規治療法開発の研究、(2)喉頭機能再生を目指した新規治療法開発の研究、などを行っている。
産科婦人科学
教授:高野 政志(講座等名:産科婦人科学)
研究活動等
当講座は小児思春期から成熟・老年期までの女性を対象とした下記の幅広い研究を行っている。
2大分野
- 産科・胎児医学
- 婦人科学・腫瘍学
産科・胎児医学では妊娠、分娩、産褥、胎児・新生児まで正常な課程をしっかり教育し、どこから異常な経過になるのかを系統的に学習している。また、いわゆる疾病について何が解明されていないかも学習しつつ研究活動にいかせるような内容となっている。産科・胎児医学に関する基礎的知識と研究能力を涵養させることを目的としている。
授業要目としては下記の内容である。
- 妊娠の生理学
- 産科の検査・診察
- 異常妊娠・合併症妊娠
- 分娩の生理学・異常分娩
- 産褥の生理・産褥の異常
- 胎児・新生児の異常
また、婦人科学・腫瘍学では婦人科疾患を理解するうえで必須の組織発生・解剖学、さらには性分化、位置異常を理解できるような内容を前半で実施し、さらに後半では良性腫瘍、境界悪性腫瘍、悪性腫瘍における病理学的、分子遺伝学的特徴から腫瘍を理解するような講義を実施している。婦人科腫瘍にとどまらず、全科の集学的治療の最新知識をいれつつ包括的・系統的に学習できるようにすすめ、婦人科学・腫瘍学に関する基礎的知識と研究能力を涵養させることを目的としている。
授業要目としては下記の通りである。
- 組織発生・解剖学
- 婦人科内分泌学
- 性分化の異常、形態・位置の異常
- 性器の炎症
- 婦人科診察・検査法
- 良性腫瘍・前癌病変
- 婦人科悪性疾患・境界悪性病変
上記の他に、臨床研究として、生殖医学では不詳な点が多い排卵・受精・胚発生・着床メカニズムや子宮内膜症を免疫・分子レベルで解析する研究を展開しており、周産期医学では、前置癒着胎盤の集学的治療法や、発症前予測の研究としてmRNA解析などの研究をしている。婦人科腫瘍学では薬剤抵抗性の遺伝子・プロテオミクス解析などを行いつつ、実臨床ではGOTIC・JCOG・JGOG・GCIGなどの多施設臨床研究、新規薬剤の開発治験への参加も積極的に推進している。また、海外の研究所への研究留学も積極的にすすめており、多くの先輩が成果をあげている。
放射線医学
教授:新本 弘(講座等名:放射線医学)
研究活動等
放射線医学は放射線診断学、Interventional Radiology (IVR)、放射線治療学の3つの分野に大別され、中央診療部門として病院の質の向上に貢献すべき部門である。
本講座では、現在放射線診断学においては、拡散MRIの基礎研究として、Intravoxel incoherent motion (IVIM)、Diffusion kurtosis model,gamma distribution modelなどを用いて、拡散MRIの新たなデータ解釈に関する研究を展開している。
また画像病理対比、MR lymphographyなどの新たなイメージング技術の開発・応用、超高分解能MRIによる未可視化領域の可視化・新たな対象領域の開拓を行っている。IVRに関しては高圧アルゴンガスを用いた凍結療法、胃静脈瘤に対する新たな治療法の開発等を行っている。
口腔外科学
教授:横江 秀隆(講座等名:歯科 口腔外科)
研究活動等
唾液腺疾患の画像診断的・病理組織学的・免疫組織化学的研究、口腔腫瘍の分野では、診断・治療に結びつく電顕的・免疫組織化学的・遺伝子学的研究を行っている。また、口腔粘膜・顎骨再生の基礎的及び臨床的研究、顎骨々折・顎変形症における骨新接合素材による実験的・臨床的研究、口腔連鎖球菌の口腔疾患・全身疾患との関わりを解明する研究、顎口腔疾患における顎機能・形態学的異常を解析・解明し、臨床に反映させる研究等も行っている。
リハビリテーション医学
教授:尼子 雅敏
(講座等名:リハビリテーション部)
研究活動等
リハビリテーション医学は、幅広い疾病・外傷により低下した身体的・精神的機能を回復させ、障害を克服し「活動を育む医学」である。
当部では、運動生理学に基づいた動作解析学的アプローチで運動機能を評価、増進を目指した研究をおこなっている。さらに認知機能のメカニズムの解明と、治療法としての認知行動医学の研究をおこなっている。これら運動生理学と認知行動医学を融合させて「活動を育む」ことを目指している。